チュッと小さな音を響かせて、私とシリウスの唇は銀の糸で繋がれた。
その糸が切れるとともに、私は一気に羞恥にかられてしまって、慌てて彼の胸に頭を預ける。
「いや、だったか?」
低い音色でシリウスは小さく呟いた。
私はゆっくりと顔を上げて、彼の目を見てみる。何だか切なそうだ。
そんなことない、という意味を込めて首を軽く横に振れば、彼は少し安心したように頬を緩めた。
「でも、目が潤んでるぞ」
頭に温かな重み。シリウスが頭を優しく包むように撫でてくれている。
泣いたつもりなどもちろんない。
しかし言われてみれば何処となく視界が歪んでいるような、気もする。
私は両手で自分のほっぺを包み、思いっきり目を瞑った。
「なんでだろ、別に泣いてないんだけどなぁ」
ほっぺは酷く熱い、きっとりんごのように真っ赤だろう。
瞼を上げて、再び彼を見つめると、とたんにプイッとシリウスが目を背けるもんだから、私はおかしくなって思わず笑みをこぼした。
「はずかしいね何だか」
「ああ」
「てれちゃったの?」
「いや…その」
急にどもり始めたシリウス。私は何々?と笑いながら彼をせかした。
「何か、エロいんだよ」
「えっ」
「お前が潤んだ目で、顔赤くしてこっちをマジマジと見てると」
きゃーシリウスのえっちー、感情も込めずに棒読みで、小さく叫んでみると、シリウスは恥ずかしがりながら笑っていた。
どこか嬉しかった、私を女としてみてくれているシリウスが。こんな幼い私に魅力を感じてくれたシリウスが。
でも。
「これ以上のことは、まだしばらく待っててね。あたし、怖い」
私は少し真面目な声音でシリウスにそっと伝えた。
するとグッと何か強い力に引かれる。全身に温もりが広がった。
ギュッと少し苦しいくらいにシリウスが抱きしめてくれている中で、私は肩の力を抜き目を瞑っていると
「大丈夫だ、俺はそんなせっかちじゃない」と少し笑っているように答えてくれた。
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